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謎の人形館
謎の人形が気ままに。。。。 たくさんの人と会話したいな>< ・・・・と思ってるブログです ちなみにアニメ好き
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蒼崎青子メインオリキャラ登場・長編「The nineteen 月のない夜のことⅣ」
 御黎千鳥が居宅焼失のため仮の住まいとしていたのは、商店街と病院とを区切るM川の側にあった。

 道中、二人は無言で結局ホテルの前までついてしまい、仕方なく中へ案内してもらう運びとなった。
 洒落た西洋風の外見を持つホテルで、一泊数万はしそうな中級クラスというところか。
 青子がよく利用するボロホテルとは比べものにならないのは確かだ。
「ここのオーナーが父と知り合いで、しばらく面倒を見ていただくことになりまして」とは千鳥談である。


 階層はそう多くはない三階建てである。
 千鳥もその最上階である三階に部屋を用意されてさるようで、部屋まで案内してくれた。
「失礼しま~す」と部屋へ入るとなかなかに広い部屋とシックな家具が並んでいた。

「ん~、実家を思い出すわね~」

 久しぶりに思い起こすと感慨深くなる。
「ご実家はご立派なんですか?」
「まぁまぁね~」
 などと生返事をして勝手にソファーへと座りこみトランクを静かに置く。
 千鳥はお茶の準備をしているようだ。
「すいません。お湯が沸くまでしばらく待っててください」
「あぁ~気にしないで。それより本題に入りましょう。ごめんね、私ってストレート勝負しかできなくてね」

 と自身の性格に任せて話をする。

 千鳥も小さく頷き青子の側に座る。
 その瞳は絶望を覗かせながらも、やはり芯の強さを感じさせる。
(・・・・本当に神様は残酷ね・・・・)
 目の前の悲しみがとても痛々しかった。


 それでもやはり青子は魔術師として他人の感情を排斥して、話を始める。
「まずは、私がこの町にきた目的について話すわね」
 千鳥の目を見て、順序付けをする。
「私はね、ある人物を追ってきたの。ソイツは魔術師でとある物を探していた。その持ち主があなたのお父さん、らしいわ」
「・・・魔術師?そんなものが存在」
「存在するのよ」
 千鳥の質問を先回りして答える。
 やはりというか、魔術に関しては懐疑的な一般常識を千鳥は持っている。

「まずそこを説明するとね、魔術はこの世に存在する。御伽噺の話だけじゃないのよ。そ
して、それは魔術協会という組織によって秘匿されている。でちなみに私は魔術師じゃなく、魔法使いよ」
「どう違うんですか?」
「ん~と、魔術師が使う魔術っていうのは、現代の科学でも可能なことを敢えて魔力を使ってやってるの。で魔法は現代の科学で不可能なことを起こせる力、かな。だからランク的には魔法のほうが魔術より上ね。私も一応は魔術を使えるから魔術師だけどね」

 千鳥は自身の知りえぬ情報を聞き、驚き半分といった様子だ。
「でまぁ、本題に戻るんだけども私が探してるソイツはあなたのお父さんとすでに接触している。そして、命を奪ったのはソイツの可能性が高い・・・」
 緊張感を微塵も感じさせず、事実を話しきった。
 話始めて数分と経っていない。
 はじめに青子が明言したとおりのストレート勝負。しかも豪速球である。
 悲しみの感情への配慮など一切考えず、傷口に塩を塗るように残酷に。
 忘れかけていたことへの感情がふれだし、純粋な少女は崩れ落ちる。
 泣き声もなく、ただただ、思い起こす。
 魔法使いはそれに触れることも出来ずに宙を見つめる。
 ふと、千鳥が嗚咽をかみ殺しつぶやく。
「っ・・・私、その人ッ・・・見たかもしれません」
 記憶の中、帰宅時にすれ違った男のこと。
 違和感を抱いた感覚を思い出す。
 怒り、恐怖、憎しみ、負の感情が心を蝕む。
 そんな彼女の頭を優しく青子はなでる。
「私、甘い言葉は嫌いなの。だからあなたを追い詰めるわ」
 裏腹に優しい口調でただ、選ばせる。

 人生は選択肢の連続であると言った宝石翁の台詞を思い出しながら青子は言う。
「私はソイツをぶっ飛ばす。あなたはどうする?」
 ひどく簡潔に、しっかりと問う。
 俯いていた千鳥は、顔を上げ、迷うことなく魔法使いの目をしっかり見やる。
(あぁ、やっぱりそっちを選ぶのね・・・)
 
 
 しっかりと頷くその意思表示を受け止め、魔法使いは本日二度目の神への呪詛を呟いた。



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蒼崎青子メインオリキャラ登場・長編「The nineteen 月のない夜のことⅢ」



それは商店街から御黎元居宅への道を逆戻りし、さらにはその商店街を越えたM川の向こうにあった。

「・・・遠すぎだわ・・・。やっぱタクシー拾えばよかった・・・」
 思わぬ徒歩での強行軍をしてしまったため、日も沈み、おまけに自身の体力もなかなかに磨り減ってしまった。
 ただ病院の周辺は時間も時間であり、人影は見当たらなくなっており、図らずも魔術の隠匿が容易に行える状況ではあった。
 病院の自動ドアが機械の無機質な音とともに開かれた。
 ロビーに人影はなく、受付も数人が事務作業をしているだけである。
 そのまま適当に検討をつけ、霊安室があるフロアへと進む。

 自身の踵が廊下を打つ音だけがただ、一定のリズムで刻まれる。


 鼻をつく消毒液の匂いが一際強い廊下の長いすにその少女はいた。
 その目の先には、無機質な扉がこの世とあの世を薄く区切っている。
 少女にゆっくりと近づいていく、踵のリズムに変調はない。
 その音にすら反応のない少女は、ただ静かに双眸から押し込めきれない悲しみを滴らせる。


「はじめまして」


 いつかの丘のような優しい声。
 でも少年じゃなく、少女に。
 太陽ではなく、影の下で。
 
 
 静かに話しかける。
 


 少女がそれに反応するのに数秒を要した。
「・・・・?あ、あの・・?えと?」
 必死に悲しみを押しこらえて発した、不意の登場者への疑問。
 それを経験豊かな魔法使いは汲み取り。
「私は蒼崎青子。魔法使いよ。あなたは御黎さんね?」
 途端、少女はきょとんとした顔を見せた。
「あ、えぇ、はい・・・。御黎千鳥ですけど・・・」
 とりあえずの質問に答え、青子に向かい合うように立ち上がった。
 しっかりと青子の目を見つめる瞳には涙の跡が残っている。
 青子はそれを自身の手のひらで受け止める。
「私の詳しいことも気になるでしょうが、ここで話すわけにはいかないわ。さわりだけ話しておくと貴方のご両親についてのことなの。少し付き合ってもらえないかしら?」
 やや単刀直入に話を切り出す。性格上、回りくどいことは嫌いだが、それでも今は相手の状況も踏まえて少しばかり配慮する。
 少女の目を影がよぎったようだが、それでもしっかりと頷き返してくれた。
「あの、では、どちらにしてもそろそろ閉院になりますし、私が今夜帰るホテルまでご一緒しませんか・・・?ご迷惑じゃなければですが・・・」
 気丈に振舞う少女からはやはり深い悲しみを感じてしまう。
(・・・だめだな~私、こういう子見ちゃうと・・・ほっとけないわ・・・)
 自身が異常であるがゆえに無垢なものを守ろうとする。
 だが魔術師として優れているものほど自らの世界を最優先し、他者はあくまで視界に存在しない。
 他者を排斥して考える傾向が多い魔術師の中では、青子の考え方は異端としか呼ばれ
ないものだ。
 ほっとけない性の自分に呆れながらもやはり、それを選ぶ。
 「いいわ。行きましょ」
 青子は少女の手をとり、しっかりと少女に寄り添った。
 影が交差する廊下を出口へと向かい歩き出した。





蒼崎青子メインオリキャラ登場・長編「The nineteen 月のない夜のことⅡ」
 茹だる様な暑さ、これを形容するのに文学者は何年の歳月をかけたのだろうか。
 一高校生である私がこれに対する答えを持っているはずもなく、ただなんとなくその文学者さんのおかげで今こうして夏の暑い中でも「茹だる様に暑い」と形容することができる。

 窓越しにこちらを覗く太陽が忌々しく思えてくる真夏の6限。
 心なしか右から左に聞き流す教師の文言も暑さでだれている気がする。
 生真面目に時を刻む、歯車仕掛けのカラクリ、つまるところ時計を見やる。
 授業開始から15分、残り30分。
 考えると狂いそうになるのでしっかりと無心を保ってみる。
 
 
 授業開始から17分、残り28分。
 前言撤回、無心になるとこのまま即身仏になりそうだ。
 とりあえず、タオルを被って直射を避ける。


 授業開始から24分、残り21分。
 席替えのとき窓側の席を引き、喜んでいた過去の自分が馬鹿だったと痛感してきた。
 廊下側の席の佐々木が羨ましい。


 授業開始から31分、残り14分。
 佐々木とりあえず覚えとけ。
 
 
 授業開始から42分、残り3分。
 いよいよカウントダウンが始まった。この胸の高鳴りはスペースシャトルで空へ向かう宇宙飛行士のようだ。
 佐々木とりあえずごめん。


 授業開始45分、残り0分。
 本日最後のチャイムがなる。
「・・・という感じだ。それじゃ授業終わるぞ~」
 先生の終了宣言により解放された。
 
 
 
 地獄のあとのごく短いホームルームも終わり、私は窓際の席に名残惜しむことも無く教室の出口へ向かう。
 そのまま階段、昇降口、校門とリズム良く脱出。
 家への帰路に着いた。
 やはりこの学校という縛りからの開放はいつも素晴らしいとしみじみ思う。
 学校が嫌いというわけではないのだが、学校を好きといえるほど勉強熱心でもない。
「ん~、やっぱり自由が一番かな~」
 大きく伸びをして、空を見上げる。
 忌々しい太陽は健在だが、縛りのない今はそこまでの脅威は感じない。
 むしろすがすがしさすら感じる。
 
 そんな太陽の下、往来を行く人は少ない。田舎町ということもあるのだがそれでもこの季節は他のそれより少なくなる。
 事実、学校から家への道のりはそれほど遠いわけではないのだが、こうして歩いている今も砂漠を一人きりで横断するかのような孤独を感じるほどだ。


 そんな擬似大冒険の末、自宅への最後の帰路を曲がったとき、一人の男とすれ違った。
 身長190センチはあるだろうかというような巨躯の男。
 田舎町では珍しい西欧風の顔立ち。
 見たところ私の家から出てきたようだったが、その顔に見覚えもない。
 男は私に目もくれずそのまま何事もなく私の横を過ぎ去った。
 そのすれ違いざま不思議な香りと言いようのない恐怖を感じた。
 僅か一瞬のうちに全身の筋肉が硬直していた。
 すれ違った男を振り返り見ることも出来ず、そのまま家に走りこみ、鍵を閉めた。














 その夜、私の家は全焼した。









 翌日のニュースで、死者2名、父と母の名をキャスターが読み上げていた。









『昨夜、M市N町の御黎響璃さん47歳の家が全焼しました。』
 街頭のテレビから単調に聞こえてくるその名前を聞きとったとき、心中で舌打ちをした。
「やられたか~、噂どおり仕事が正確で早いわ」
 大きなトランクを持った女が残念そうに立ち止まった。
「でもこれでアイツが何らかのアクションを起こしたのは間違いないわね」
 田舎町の商店街、人通りが少ないとはいえ、テレビの前で腕を組む女は異様な雰囲気をかもし出している。
 ラフな格好に不釣合いなトランク、その格好も大いに関係あるのだろうが、当人には他者を気にするほどの一般常識は持ち合わせていない。
 しばらく道行く人々の関心を集めた女は、用のなくなったテレビの前から離れて歩き始めた。
「・・・御黎響璃には一人娘が居る、そして、唯一生き残っている・・・か」
 珍しく思考をめぐらし始める。
(やっぱ、セオリー通り生き残りを探すことにしましょうか・・・。でも、どこに居るんだろう・・・とりあえず、元居宅でも見とくかな~)


 とりあえずの方向性を決めて目的地へと歩き始めた。
 このM市の商店街を抜けた先、田園風景の一本道を歩けば目的地だ。
 田園の中には転々と民家があり日本の地方都市を形容する風景だけが広がっている。
 その民家の唯一、人の石垣を築いている場所。
 恐らく他のそれと同様に平凡な民家があったであろうその場所は遠目で見るからに跡形もなくなっているようだ。
 そこに近づきにつれ警察関係者や消防関係者、さらに野次馬が見え始めた。
 鎮火は済んでいるとは言え火災状況の検分が行われていた。
「これじゃぁ、ちょっとやり難いかな~・・・」
 思わず苦笑いを浮かべてしまう。
 元来、魔術師というのはその技を秘匿するものだ、という概念を持っている。
 正式にそれらの団体に属していないとはいえ、やはり人ごみでの魔術行使による調査というのは倦厭してしまう。
 一考の後、目的地変更のため進行方向を変える。
 そのまま遺体がまだ安置してあるであろう病院へ向かう。
蒼崎青子メインオリキャラ登場・長編「The nineteen 月のない夜のことⅠ」
異様な空気が熱を帯び、大歓声となって沸き起こる。
スポットライトが光をあて、影をくっきりと照らし出すステージの上。
覆面の男に華麗なドロップキックを決めて喝采を浴びる巨漢。
その姿に勝者という言葉の意味を生々しく感じる。
 そのまま、試合終了が告げられ、敗者はただ粛々と退場する。

「全然勝てないじゃん~」
安っぽいエアコンの音が響くボロホテルの一室で呟く女。
目を焼くような赤い髪、ジーンズに白いTシャツというラフな格好、それでいて一見品のありそうな顔の美女。
魔術界にその名を轟かす世界に5人しかいないとされる魔法使いが、プロレスの試合を見、そして・・・
「・・・なぜ勝てない!!!!!!!!!!!」
 1つのテレビをこの世から旅立たせた。










 誰もが闇を身に纏う夜半。
 一人の男が高らかに歌い上げた歌があった。


 永遠への兆戦・・・無限転生。




しかし、その歌は一人の死神によって終わりを迎えた。
その男はもちろんとし、その全てが終わりを迎えた。


 楽譜も詞も楽器も全てが・・・・・・終わらされた。





 ただ、その男が居たという事実が狂気と供にそこに残った・・・







   The nineteen 月のない夜のこと
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